ひとくち短歌絵 11~20

 20, 珈琲に 息をふきかけ 曇らせた 眼鏡から見る 夕霧の街


19, 肉体を 持たぬ数字と 成り果てた 戦死者は日々 加算されゆく


18, こころごと ことばをごみばこへはこぶ ねずみをつつむ みぎてを憎め


17, せいべつも としもわからぬ アイちゃんの しにたいなんて ゆびのうんどう

 

16, 太陽を おそれあこがれ つきすすむ 水泡のはてに ひからびた魚

 

15, イヤホンに とざす世界の かなたより 悲報はとどく スマホの中へ

 

14, もうこれで 看取りはおわる 愛犬の 最後の息に ふかく安堵す

 

13, 本物に 近づくほどに 遠くなる 偽札の 漱石のまなざし

 

12, ありがとう 以下の余白が 永すぎて いまもこころに ふるささめゆき

 

11, 土偶とは 仮の名ゆえに 見開いた まま縄文の 声をひた待つ

 --

1~10 11~20 21~30 31~40 41~50 51~60 61~70 71~78