MIHO MUSEUM「十字架の道行き」展 感想 2018.12.28

2015年5月に行ったMIHO MUSEUM、バーネット・ニューマンの「十字架の道行き」展

Barnett Newman THE STATIONS OF THE CROSS: Lema Sabachthani

感想メモまとめ。

MIHO MUSEUM HPリンク

 

 

滋賀県にある私立美術館 MIHO MUSEUM。美術館の設計が、今回の展示作品所蔵のワシントン・ナショナル・ギャラリーと同じ、I・M・ペイさんだった事から実現した展示だとの事。

1966年グッゲンハイム美術館での「十字架の道行き」展の、リバイバルという形にもなるそう。(美術館チラシより)

 

 

Painting, like passion, is a living voice, which, when I hear it, I must let speak, unfettered.

絵画は、情念がそうであるように、生きている声であり、その声が聞こえるとき、私はそれに、束縛をほどいて、語らせないといけない。」

バーネット・ニューマンの言葉

 

Lema sabachthani とは、なんぞ我を見捨てたもう

 

 

展示作品は《十字架の道行き(Stations of the Cross)》という14枚の連作と、プラス1枚の《存在せよⅡ(Be Ⅱ)》で15枚のキャンバス。順番に辿っていく。

抽象絵画の連作という形は、こういう"語り方"があるんだなと斬新に思った。語りというと線の印象だったけど、

これは線じゃなく面で、情報がバンと来る。

認識のされ方が。

それが見るにしたがって重なっていき、重く厚かった。

内容・テーマはタイトルからもある通り、キリストの話に、モチーフが深く根差している

 

-

制限する

抑制する

(制裁)する

 

人に愛を与える事ができない感じ。

人から愛を受け取る事ができない感じ。

 

自分に「ご免なさい」と言う度、傷は深くなる

諦める度に断ち切って、影を負い、

自分への敗北、甘えという痛み

 

罪、あきらめる事、逃げること、目を背け走ること、

 

禁じる事。禁じ、禁じ、禁じ、禁じ、禁じている

 

 

平面作品という事について、

キャンバスは"準-窓"のように感じた。

 

抽象絵画ってよく分からなかった(何をしたいのか、何を描きたいのか、何を目指しているのか)けど、

抽象表現画家にとって、キャンバスは舞台なのかもなと思った。

Performativeであり、形式、様式も似ているような。

 

 

表立ったものの、

裏には

底には

(奥には)

 

"パッションを隠さざるを得なかった"ような

 

 

連続するキャンバスは、

一枚目から第一留、第二留、第三留、(first station, second station, third station, )と表される。

 

・第三留 血の匂いがした

血だ、って思う

 

・第四留

骨肉

 

・第五留

ヴィヴァルディの夏の、ヒリヒリする感じと重なる

 

・第六留

鐘の音

 

 

 

各々が「知っている」事がある(imageされる、身体的な蓄積)から、

体験同士を重ねるしかないのやな。と思った。

 

「傷」、刻。

 

無痛で済まないように、

という感じ

 

great beauty

and power

の感じがあった。

 

 

Lema Sabachthani

 

展示にあった文

-

This is the Passion. This outcry of Jesus, Not the terrible walk up the via Dolorosa, but the question that has no answer.

(…中略…)

The first pilgrims walked the via Dolorosa to identify themselves with the original moment, not to reduce it to a pious legend; nor even to worship the story of one man and his agony, but to stand witness to the story of each man's agony; the agony that is single, constant, unrelenting, willed― world without end.

"The ones who are born are to die

Against thy will art thou formed

Against thy will art thou born

Against thy will dost thou live

Against thy will die"